角川日本古典文庫『信長公記』より

……餓鬼のごとく痩衰(ヤセオトロ)へたる男女、柵際(ギワ)へ寄(ヨリ)、もだへ(パソコンで出ない字)焦(モダエコガレ)、引出し扶け候へとさけび、叫喚の悲しみ、哀れなる有様、目も当てられず。鉄砲を以て打倒し候へば、片息したる其者を、人集まり、刃物(はもの)を手々(てんで)に持て続節(ツギふし、関節)を離ち、実取り候キ。身の内にても、取分け頭(カウベ)能きあぢはひ(味わい。頭部はよい味があると見えて)ありと相見えて、頸(クビ)をこなたかなたへ奪取り、逃げ候キ。兎に角に余程強面(つれなき)物なし。
 * 余程強面(つれなき)物なし
    人間の生命ほどなさけないものはない。この一条も凄惨さが浮き彫りにされていて、立派な戦争文学である。
 奥野高広+岩沢愿彦(よしひこ)=校注 『信長公記』367ページより
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by hiroto_yokoyama | 2004-11-04 21:16 | ブログ
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