桐野夏生さんの小説を読んだことがありますか?

 きのう文藝春秋の「本の話」1月号を本屋で貰ってきました。〈特集〉桐野夏生の衝撃という表紙の赤い字が目立っています。
 わたしは桐野さんの本はたしか1冊買って読みかかったのですが九州にそのまま置いています。「本の話」に『私の好きな男』というタイトルの桐野さんの文章が掲載されています。
「……小説では、いろいろな人物の、様々な感情を書かなくてはならないのですが、女である私には、男がわからなかった。デビュー当時は、自分の理想の男性像を書いていました。しかし、当の男の人たちからは、今ひとつ受けが良くない
 そうでしょう、そうでしょう。
「 先日、精神科医の斉藤環氏と対談をしたのですが、斉藤氏は、男は「所有」、女は「関係」を求める、というのです。私は、鍵を見つけて扉を開けた、という気がしました
 このすぐあとに桐野さんのセックス観がのべられています。
男は所有を求める。性関係の場合、勿論、それはセックスです。一方、女は関係を求める。恋愛をして性関係を持った以上、二人の関係はいつも濃密で変わらぬ愛情を誓い合わなくてはならない、と考える
 伊藤整ではなく谷崎潤一郎が好きというのが結びですが、わたしはなんだかはぐらかされたような感じがして目覚めが悪かった。朝日新聞のイデオロギーにはついていけないが吉村昭氏の『彰義隊』はきょうで55回。ちゃんと読み続けています。朝日の共産党か旧社会党か分からないが勉強が良くできる人が陥りがちなドグマの臭みを見ぬふりすれば本の広告が多いのがわたしには嬉しい。きょうの拾いものの記事は島田雅彦氏の『文芸時評』。冒頭高橋源一郎と山田詠美が対談で「顰蹙こそ文学」と群像で焚きつけていると島田氏は紹介している。興味のある人はあしたでも図書館でこの記事をお読みになるといいが、桐野さんが「当の男の人たちからは、今ひとつ受けが良くない」のはこの人も顰蹙をかうことを恐れているからではないだろうか?
 マラソンで銀をとって自分を「誉めてやりたい」と言った人と桐野さんの共通点はきっと自分のことを「きれい」とひそかに自負していることではないだろうか。林真理子さんはご自分のことを、どう思っていらっしゃるだろう?
 わたしは女性の作家では多分ご自分でブスだと思っていらっしゃる(違っていたらごめんなさい)かも知れない瀬戸内春美(寂聴)さんが好きです。剃髪なさってからますます素敵におなりです。おしまいに島田雅彦氏の文芸時評から引用させていただく。
 (古井由吉氏について)「…自分の存在を希薄にするような世界に対しては、おのが存在を呪いの言葉とともに刻みつけてこそ復讐(ふくしゅう。朝日新聞はこういう点が読者に親切。「小さな親切」大きなお世話。横山)になる。その意味では孤立無援は作家の勲章だ。人気者は迎合という雑務をこなすうちに凡庸化するから、どれだけ憎しみを保っていられるかの勝負になるだろう
 単純なわたしは島田氏の言葉に涙が出るほど励まされた。こんどこそぜひ氏の本をのぞいてみないとならない。
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by hiroto_yokoyama | 2004-12-22 20:16 | ブログ
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