初乗り660円の悲喜こもごも

 せこい乗客がいる。わたしは疲れていた。その馬鹿は降りるとき小銭を手渡した。わたしはきっかり660円だと勘違いして「ありがとうございます」と言って受け取りドアを閉めようとした。その20代の若者はアイスクリームをしこたま買い込んだらしくレジ袋をふらふらさせながらキッとして「710円ありませんか」とほざいた。え、と掌(たなごころ)を開いてみたらたしかに五百円硬貨一枚。百円硬貨二枚。十円硬貨一枚。わたしは焦った。このヌメッとした男は女か! 俺を見損なっている。俺が五十円をくすねようと思い違いをしたに違いない。ぶっ殺そうか。しかしわたしは自分が可愛い。呑み殺して「済みませんでした」とそのアホに五十円硬貨をあわてて渡した。悲しいねぇ。
 わたしは女が好きだ。年寄りも若いもない。わたしに豪快にチップをくれるのはきまって女性。わたしは顔がいいのだろうか? 声がいいのだろうか? 体つきがいいのだろうか? なんでもいいがわたしがフェロモンを発しているのは間違いない。いつもの自慢話でした。
 みなさん。タクシーに乗るときは「近くて悪いのですがどこどこまで行ってくれませんか」の一声があると運転手は嬉しいのです。660円のやましい気分をこらえて勇気を持ってその言葉を発しませんか! 今のタクシー運転手はむかしと違って人間として上質な者がそろっていますよ。660円の客が続くときに嫌気がさしてひとことも言葉をしゃべらないのです。そこに悪意などありません。分かりますか? 人生は先手必勝ですぞ。
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by hiroto_yokoyama | 2005-01-11 21:17 | ブログ
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