きょうの大岡信『折々のうた』(朝日新聞1面)を興味深く読んだ。岩手康子さんという人の歌「
三界(さんがい)
に家なしと言いしは過去のこと女一人が優雅に暮らす」に女性なら誰でも目がいくはず。大岡氏は「三界」を「仏教用語で、衆生が活動する全世界」と説明なさったあと、「これに並ぶ歌」と末尾にもうひとつ岩手さんの歌を紹介なさっている。これがいい。
「
わが鬱を映したくなし三面鏡小さく開き化粧をおとす」
わたしは57歳。男を卒業したと自分では思っていても世間はそうは見ない。「女性の自立を助けたい」などと口先では言うが下心というか実はハラのなかはいやしい野心に満ちていると猜疑のまなざしで見られることが多かった。これからもきっとそうだろう。問題は時間。「優雅に暮ら」しながらも「鬱を映したくな」い女性たちとおもて(ネット外で顔をつき合わせて)で知り合いネット上で仕事が出来そうなところにいまはいる。