きょうは嫌な日だった

 原因は2つある。映画『山中常磐(やまなかときわ)』の上映中に使い捨てカメラのストロボを5回光らせた馬鹿がいた。それとJR福知山線の脱線事故で運転士の生死を報じないテレビ局の姿勢。
 あさ9時小雨降るなかバスとJRと都営地下鉄を乗り継いで神保町の岩波ホールへ向かう。小学生のときの遠足の日よりもわたしのこころはずっと高揚していた。開場の30分まえなのに10階から7階まで階段に高齢者が並んでいる。女性の数が圧倒的に多い。嫌な予感がした。
 飛び入りで羽田澄子監督の挨拶があって上映が始まった。ここまではよかった。ところが字幕の2つめが映し出されると何かがピカッと光った。あ、カメラのストロボだ! スクリーンに投影されるのが映画なのにそれに光を当てればスクリーンは白くなるだけだ。わたしはわが目を疑った。2度目に光ったとき「おい、馬鹿なことはやめろ」と声を出した。3度目は我慢した。4度目には声を荒げた。5度目の発光でわたしは席を蹴立てて切符切りの女性を呼びつけた。
 使い捨てカメラでどんな奴がストロボをたいたか? 支配人に呼び出させた。年の頃65歳以上のみすぼらしい男だった。男は訳の分からないことをいいながら住所氏名と使い捨てカメラを残して帰って行った(わたしがそうさせた)。こうなったら映画など見る気がしない。ほかの日に座席を用意して貰うように頼んでおもてに出た。雨はまだやんでいない。
 気を取りなおそうとカントの『純粋理性批判・上』(平凡社ライブラリー、か|29|1、1800円)を特価で1700円、『大きな字の地図 Brief東京』(人文社、1333円+税)を500円で購入。いそいで地下鉄に乗る。岩波ホールに行くまえに300円で買ったルカーチ『階級意識論』(未来社)の3冊をかわりばんこに手にして気を紛らわそうとしたがダメ。巣鴨駅前をうろついた。「ゆたか食堂」というわたしの大好きな「駅前食堂」を見つけてビールを飲もうと飛びこむとテレビがJRの脱線事故をライブで映していた。そのときは37人亡くなったと分かっていたがさきほど(午後8時まえ)50人に増えていた。1両目はマンションにもぐってしまっているので運転士が死んだのか生きているのか分からないのかもしれないが「いつ、どこで、だれが、なにをなぜ、どのように」の4W1Hのひとつを欠いたらそれはニュースではない。NHKはやはりどうしようもない。(岩波書店、NHK、朝日新聞の終焉だ。いい大学を出た奴が日本を滅ぼす。わたしは進歩的文化人が死ぬほど嫌いだ)
 岩波ホールで馬鹿がストロボたいても観客全員が黙認してしまう鈍感さ、くたばりそこないのインテリ婆ァどもめ。鉄道事故を報じるテレビ局の姿勢。わたしは生きているのが嫌になる。福知山線に乗って亡くなった方々のご冥福を心より祈る。
 映画上映中にストロボをたいた爺ィ。妻の「その人おかしいんじゃないの? 」のひとことでわたしは我に返った。岩波ホールからたたき出した貧しそうな老人がボケ(そのようには見えなかった)か精神障害者だったら、わたしはひどいことをしたことになる。とりかえしはつかない。
 死にたい気分をなんとかはねのけてわたしは明朝もタクシーに乗ります。さいごに拙文を読んでいただいた方々に感謝します。
[PR]
by hiroto_yokoyama | 2005-04-25 22:09 | ブログ
<< 編集者の方からうれしいメール 黒田三郎氏の詩「僕はまるでちがって」 >>