編集者の方からうれしいメール

 大手出版社の編集部の人から2通のメールをいただいた。わたしにとってとても励ましになったのでご本人に了解いただいてそのまま載せます。

 1通目。見出しは「『純』について触れさせていただきました。
横山博人さま

『編集会議』(宣伝会議発行)という雑誌に、日本の雑誌についての、
豆粒のように小さな連載を半年ほどしています。
今出ている5月号に、『にっぽん』という雑誌と岩田専太郎にからめ
て、「純」についてひとこと触れさせていただきました。
以下のような短いものですが、ぜひ、目を通していただきたい、と
願っています。
ご入用でしたら掲載誌のコピーを送りします。

 終戦翌年の1946年1月に創刊した雑誌は多い。「新大衆雑誌」と
銘打つ『にっぽん』(日本社)創刊号は、小説やエッセイ中心で、
時節柄「食糧危機を乗切る道」という記事も見える。岩田専太郎
(1901-74年)の表紙絵について、編集後記は「他誌表紙執筆
を避けて描き上げた絢爛豪華の数枚を編輯局に示され、決定した
一枚以外は悉く破棄されるといふ良心的苦心ぶり」と記す。

 目次に「恋愛」「性」「肉体」「欲情」の文字が増え、実話雑
誌的傾向が強まるのに応じて、岩田の絵も、清純派女性の七分身
や全身を描いたものから濃艶な顔のアップへと変わるが、髪の毛
をからませた手や、手袋をした指先を、必ず画面に入れている。
48年4月号の「美しい女」と題する座談会で、「一番注意をひく
のは」と問われて、「やはり全体。顔だけじゃないね」と語る岩
田は、小説の挿絵では、背景や小物にまで神経を通わせ、時代の
空気を描き出していた。

 軍艦島や代官山アパートを舞台にした映画「純」(横山博人監
督、1980年)の中で、漫画家志望の主人公(江藤潤)が、電車
内で痴漢行為に及んだあと、「岩田専太郎(の画集)を買いに
行こう」とつぶやくシーンがある。岩田の絵に男の幻想が反映
されていることをみごとに語っているだけでなく、その人物描
写を劇画界が手本にしていたことまで暗示している。一世を風
靡した劇画家・バロン吉元が描く『現代柔侠伝』には、闇市時
代のテキヤ幹部が登場するが、岩田が描いた空気に通じるもの
を見出すことができる。


2通目。見出し「同潤会アパート、軍艦島……
横山博人さま

メールを見ていただき、ありがとうございます。
もちろん、ブログへ転載していただいてかまいません。

同潤会アパートについては、
森まゆみ・藤森照信『東京たてもの伝説』という書籍を編集し
たことがあり、代官山の解体時には、東京理科大学の人たちに
混じって、個人的に部材の回収などに励みました。
「純」のロケに使われた独身棟のベッド脇の窓や階段手すりなど、
今でもどっさり持っています。
また、軍艦島については、人が住んでいたときの写真を使って、
伊藤千行・阿久井喜孝『軍艦島 海上産業都市に住む』
というビジュアル本を編集したことがあり、
現地にも行ってきました。
ですから、私にとって、「純」はとても大事な映画です。
今回、600字の原稿を書くために、岩田専太郎のことを考えていたら、
「純」のシーンを急に思い出し、ビデオを取り出して、じっくり見直しました。
(「純」も「卍」も、中古ですがビデオを持っています。)
そのあと、某イラストレーターと話をしていたら、
岩田専太郎と劇画家の話になり、
大好きなバロン吉元、岩田専太郎、「純」の3つがつながることに、
やっと気がついたのでした。

ともかく、よろしくお願いします。

 以上ありがたいメールです。ブログをわたしは死ぬまで続けるつもりだが死んでも続ける気になりました。
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by hiroto_yokoyama | 2005-04-26 06:21 | ブログ
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