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『冒険者たち』(ジョアンナ・シムカス、アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ)と『純』の関係

 ひるまケーブルテレビで『冒険者たち』のおしまいの部分を見た。海の中に要塞が映った。この映画が封切られたのはたしか昭和42年(1967年)ではなかったろうか。わたしは1浪して2度目の大学受験のために上京し結果待ちの居心地の悪いとき有楽町の大きな映画館(有楽座? )で見た。
 缶の発泡酒をのみながら懐かしくてテレビのチャンネルを押した。東映東京撮影所で契約の助監督のころ疲れて帰る電車の中で座席に捨てられた夕刊紙を拾った。なにげなくページをめくると『冒険者たち』の要塞ににた写真が目にはいった。軍艦島(正式には端島という)だ。担当した映画が終わって九州に帰省したおりわたしは友だちと軍艦島を見にいった。そのときはただ見たかっただけ。倉本聰さんの了解をえて『純』のシナリオを書き直すときいきづまって思い出したのがこの軍艦島のことだった。
 『純』が大ヒットしてしばらくしたら東映京都撮影所のプロデューサーから電話があった。軍艦島で『冒険者たち』のような映画を撮りたいという申し出だった。「馬鹿な! やめておいた方がいい」と思ったがどこに連絡すればいいかの質問にはちゃんと答えた。この日本版『冒険者たち』はわたしの予想通り興行的に大失敗した。
 数日前、行政の役人が地域おこしのためにこの島に渡ったと写真入りで報じられていた。 いまわたしはさいたま市でタクシー運転手をしているが毎日いろいろな風景を見る。軍艦島の写真を見たインパクトほどの景色にはまだ出合っていないがシナリオを書きだしたら煮詰まって夜中にロケ場所探しに車でうろうろしだすに違いない。そんな日はそう遠くないうちにやってくる。わたしのひそかな愉しみごとなのだ。
by hiroto_yokoyama | 2005-08-25 23:01 | 映画
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