年寄りの映画ファンなら知らない人はいないと思う。原案はあの黒澤明監督。『ゆりかごを揺らす手』で妖しい魅力があったレベッカ・デモーネイが出ていると知って期待したのだがこの映画で彼女はまだ熟しきれない硬い果実のようでがっかり。男にはわたしは当然点数が辛くてジョン・ボイトは好きではない。
内容について言うと、黒澤明のオリジナルのシナリオを読んでいないが、もし黒澤脚本でも脱獄囚が暴走機関車に乗る設定なら黒澤明は誰が何と云おうと凡庸な監督だ。この種の映画は絶対に平凡なわたしたちにとって身近な人物でないと面白くならない。コンチャロフスキーが悪いのか誰の所為か分らないがそのへんにいそうな人間が主役の話を脱獄囚に変えることを許諾して映画化権を売り渡したのなら黒澤さんはよほど金に困っていたのではないだろうか。つまらないガッカリするような想像をしてしまって申し訳ありません。
この『暴走機関車』は暇で退屈していても見る必要はないと余計なアドバイスをしておきましよう。