脇田修著『織田信長 中世最後の覇者』(中公新書、843)を読む

 つまらない映画を最後まで見てしまったあとの口直しには読書がいちばんいい。この本の最後の3行を引用する。
 おもしろいことに浅井長政とお市(言わずと知れた信長の妹、横山)のあいだに生まれた三人娘のうち、長女の茶々は秀吉の愛妾として秀頼を産んで、のち大阪の陣で城とともに死んだが、末娘のお江は、徳川秀忠夫人となり家光などを産んだ。織田家の血は、豊臣・徳川の両者に入りつづいたのであった。 
 歴史の研究家などにはこんなことは常識なのかもしれない。不勉強のわたしはちょっと利口になったような気になってうれしい。
 「あとがき」で著者は書いている。
……本書で描きだした信長は、いささか従来の信長像とは異なっていると思う。それは信長の魅力といえるものをあきらかにするとともに、彼を近世ではなく、中世最後の段階の人物として描いたことによるであろう。また、それによって戦国乱世のなかで苦闘する信長の「政治と行動」を書くことができたと思っている。……
 信長を「近世最初の覇者とみるのが通念になっているから」、「中世最後の覇者」と見ることによって視点はおおいにかわる。リアリティがでてくる。信長の顔が少し見えてきた。巻末の「織田信長略年譜」と「織田信長関連地図」は拡大コピーでもとってそばに置き時空を舐めまわしてみたいものだ。
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by hiroto_yokoyama | 2008-05-25 07:08 | ブログ
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