宮脇俊三『徳川家康歴史紀行 5000キロ』(講談社文庫)を読む

 宮脇さんの名前はかねてから知っていたがお書きになったものを読んだのは「日本通史の旅」という「小説現代」に連載中の記事が最初だった。この「家康歴史紀行」の「文庫版あとがき」に詳しく書かれているがどうやらこの本が「通史の旅」のきっかけになったようである。
 順番は「家康歴史紀行」のあと「日本通史の旅」となるのだがわたしは連載の途中から読みだして「通史」のはじめの部分は『古代史紀行』として単行本化されてから読んだ。つぎの『平安鎌倉史紀行』は刊行されるのを心待ちにして新刊で購入して読んだ。つぎの本を待てども待てども本屋に並ばない。しびれを切らして講談社にまで電話をしてみたが大出版社なので要領を得ない返事が返ってくるだけ。わたしの楽しみは中断してしまった。
 あるときスーパーに妻と買物にいったおりそこの本屋に文庫の新刊『室町戦国史紀行』があるのを見つけてすぐに買った。「あとがき」に宮脇さんご自身が「小説現代」編集部から「江戸時代まで書き続けよ、と仰言おつしゃ、とルビ。横山)ってくださって」いるが体調を崩したので、
……昨年(一九九九)六月、関ヶ原を訪ねたとき、私には史跡めぐりをする力がないことを自覚しました。石段の上に目指すものがあっても登れないのです。
 と書いている。『室町戦国史紀行』本文の末尾も
……あれから一八年も経てしまったきょうは、天気も道もよいのに、私は登ることができない。
 と悲痛なひびきの文で結んである。そんな訳でわたしはがっかりしてこの文庫を読む気になれずにほおっておいた。数日前に押し入れからひっぱりだして信長のところをさがして「鉄砲伝来」の章を読み前々回の記事にも書いたが橋本忍の本に手を伸ばした。
 著者は「江戸時代まで書き続けよ」と言われたが断念せざるを得なかった。「日本通史の旅」は宮脇氏の死(2003年没と奥付にある)で途中で終りではわたしはどうすればいいのか……と文庫の裏表紙をめくると見出しの『徳川家康歴史紀行 5000キロ』というのが目にはいった。すぐにわたしは図書館に予約を入れた。
 そんな経過をたどってわたしは今、この本をむさぼるように読み終えた次第なのです。宮脇さんは「日本通史の旅」を江戸時代までお書きになれなかったけれども「家康歴史紀行」をその前に書いているのだから、わたしの中では「通史の旅」は一応通ったのでした。
 宮脇俊三氏の本をガイドに氏がたどったようにわたしも旅行がしてみたいがたぶんそれこそ夢だけで終ることだろう。
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by hiroto_yokoyama | 2008-05-28 07:08 | ブログ
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