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江上照彦著『悪名の論理 田沼意次の生涯』(中公新書、187)を読む

 きょうは朝から雨が降り、詰まらぬことが原因で気持ちもくしゃくしゃしていたので見出しの本を読んだ。とても興味深い。著者の江上氏は福岡県生まれと奥付にあるが歯切れのいい文章が小気味よい。わたしより相当に年長でいらっしゃるが福岡県はどちらのご出身なのだろうか。
 田沼意次という名は高校の時、日本史の教科書で目にして以来だが、この本で親近感を持った。巻末に「田沼意次関係年表」が載っているが意次が生まれた年に、デフォーの『ロビンソン・クルーソー』が刊行されている。
 すこし長いがこの本の帯(裏の方)に書いてあることをそっくり引用させてもらう。
ナポレオンはメッテルニヒを「世紀最大の嘘つき」と呼び、一度はその愛人だったこともあるリーフェン公爵夫人さえもが、「世にも稀れな偽善者」とののしった。田沼意次の場合も嫌われかたがよく似ている。徳川の為政者中、彼ほど世間から口汚く罵倒され、あげくは汚辱の淵に蹴落されて深く沈淪しているものはない。東西をとわず悪名高い為政者には共通の政治的性格の特徴があるが、不評の条件とは何か。意次の生涯をたどって追求する。
by hiroto_yokoyama | 2008-05-29 22:26 | ブログ
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