東行西行雲縹渺(文字化けではない)

 きょうのわたしのお勉強。見出しに書いた「東行西行雲縹渺」を何と読むか? 「とざまに行き、こうざまに行き、雲はるばる」と読むのだそうだ。出典は『戦国乱世』(角川選書、海音寺潮五郎と桑田忠親の対談)という本。そのくだりを引用する。
 海音寺潮五郎が「悪党という言葉は、今日と概念がちがう」と言った(このことはわたしも誰からか聞いたか、なにかで読むかして知っていた)あと。それを受けて、「悪党」とは。
桑 田 強くて手に負えないやつらだ、という意味ですね。
海音寺 民衆のそういう無知を利用してアジるんだ。学者的態度ではないな
。(直前に楠木正成は「純粋な人」だったと2人で賛同しあったことについての発言。横山)
桑 田 このあいだ、わたくし「これだ」と思ったんです。親類の田舎のばあさんが出てきて、わしの孫は悪党でしようがないというんです。(以上25ページ)
海音寺 まだ生きているんですか、その言葉が。
桑 田 ええ、生きているんです。
海音寺 手に負えないやつということですか。
桑 田 きかん坊の孫のことを、悪党、悪党といっています。
海音寺 それは埼玉県ですか。
桑 田 ぴったりですね。埼玉県ですよ。埼玉県の農村なんです。
海音寺 それじゃ生きているんだなあ、南北朝の言葉が。
桑 田 わたくし、これだと思いましたよ。古い言葉があんがい生きているんですね。地方に行きますと。おたくの御郷里の鹿児島なんかも、もちろん、そうでしょう。
海音寺 ずいぶんあります。ハッと悟ることがありますよ。何気なくつかっていたのが、いまになってハッとする。たとえばね、薩摩では、方向を示す言葉に「さま」という言葉があります。「東京さまに行く」というんですよ。これは古い言葉ですがね。ある人が、菅原道真のつくった詩の読み方がわからなくて、北野の天神に参籠する。「東行西行雲縹渺」というんですよ。道真が夢枕に立って、「とざまに行き、こうざまに行き、雲はるばる」と読むんだとこういった。『今昔物語』なんかに、そういう言葉がありますね。だから方向を示す。
桑 田 あれがまだ生きているんですか。
(以上26ページ)
海音寺 これを東北じゃ、「東京さ行く」と、「さ」といって残っている。……(27ページ)
 引用が長くなりましたが、興味深いお二方の対談だと思いませんか。わたしは少し利口になった気になっています。どうせすぐに忘れてしまうでしょうが。
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by hiroto_yokoyama | 2008-06-01 07:40 | ブログ
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