『刑事一代 ―平塚八兵衛の昭和事件史―』(新潮文庫)を読んだ

 産経新聞社編、佐々木喜信著。
 わたしが東映東京撮影所の助監督のころ石井輝男監督『三億円事件 時効成立』についた(一番下のサード。セカンドもチーフも経験しないまま東撮をやめた)。
 この映画のタイトルに原作:平塚八兵衛と出たかどうか覚えていない。決定稿は監督ご自身がお書きになりわたしは深大寺の石井監督のお宅にナマ原(直筆原稿)を取りに伺った。撮影には至らなかったが監督はこの映画を平塚氏のインタビューから始めるおつもりだったらしく氏のことを「鷲のようにするどい目をした」と形容していらしたことをよく覚えている。515ページに平塚八兵衛の写真が載っているが長年「馬の脚」をやった人ならではのたしかにいい顔をしている。
 書店で「店員が薦める一冊」として平積みしてあるのを見てなつかしく図書館に予約した。パラパラめくって返却するつもりだったがおもしろくてはじめからおしまいまで524ページ全部を読み終わった。「吉展ちゃん事件」「帝銀事件」「小平事件」「スチュワーデス事件」「下山事件」の順番。有名な事件ばかりだ。捜査担当の刑事の聞き書きだけにとてもリアリティがある。とりわけ「下山事件」は他殺説がいまでもまかり通っているようだしわたしもそのように思いこんでいたが平塚氏は下山国鉄総裁は自殺と断定している。現場をあたった刑事がそう言っているのだからやはりそうなのだろうか、いやそうに違いないと思わせる迫力がある。
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by hiroto_yokoyama | 2008-06-07 22:09 | ブログ
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