丸谷才一氏の『日本敵討ち異相』評

 きのうの朝刊からわが家には毎日新聞がはいっている。きょうの9面に「今週の本棚」が載っている。長谷川伸『日本敵討ち異相』はいつだったか二男の部屋においてある全集を引っぱり出して読んだ記憶がある。
 丸谷氏の評の最後の部分を引用させてもらおう。
……当然のことながら、十三篇はみな、むごたらしい殺戮(さつりく、ルビ)にはじまりむごたらしい流血に終る。しかし後味はよく、一種のカタルシスさえ感じさせる。人間というもの、時代というものを、死者と社会に対する伝統的な態度を媒介にしてしっかりととらえているからであろう。ここには、祖父や祖母の蒙昧(もうまい、ルビ)をなつかしむ孫のような優しい語り口がある。わたしにとってそれは前代の風俗に対する鴎(この安いパソコンではちゃんとした字が出せなくて残念。横山)外のきびしい肯定よりも好ましいものだ。
 「祖父や祖母の蒙昧をなつかしむ孫のような優しい語り口」という言いまわしがとてもいい。鴎外のことについてはわたしは不勉強のせいでよく分からない。長谷川伸について言えばこの『日本敵討ち異相』より、その前半をわたしは涙を流しながら読んだ『相楽総三とその同志』の方に軍配をあげるが2冊とも読んでいない人には両書を読み比べることを薦めます。
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by hiroto_yokoyama | 2008-11-30 07:09 | ブログ
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