松本清張『幕末の動乱』を読んだ(2日前)

 「幕末」というからには坂本龍馬などが出てくるのかと思っていたらそうではなかった。だががっかりはしなかった。その逆。少し興奮している。「あとがき」から引用する。
……歴史は一人の英雄、天才、あるいは狂人によってつくられるものではない。……歴史の流れの底深いところには重い底流がある。一口にいえば、それは隠れた庶民の力だ。それを私は書きたいとおもった。……私は、隠れた農民や庶民の息吹をバックグラウンドで流すことにしたつもりだ。そして最後に、幕府崩壊がどこから見ても必至だというところへ焦点をしぼってゆくことにした。そのへんを読みとっていただけたら幸せにおもう。政治的、軍事的な幕末のいわゆる「大動乱」は、こののちにはじまるが、それはここに書いた時代の集約だといえる。そこにいたるだいたいの趨勢はつかんでいただけるだろう。
 その通り。この前の文。
……あれもこれも涙をのんで割愛した……
 たとえば、間宮林蔵だ。……彼が幕府の隠密として、日本の近代化にどのようなマイナスの役割をしたかということは、あまり知られていない。それは戦前の教科書的歴史教育をうけた年配の人には、ある種のイメージをこわされてあまり愉快な話ではないかもしれないけれども、真実は語らなければならない。……(シーボルトが)スパイ容疑で長崎から追放されるいきさつは、隠密間宮林蔵もからんで、私としてはきわめて興味ぶかく、ぜひ書きたかったのだが、ついに紙数の関係ではたせなかった。たいへん心残りだ。……
 わたしは間宮林蔵が「幕府の隠密」とは知らなかった。林蔵とシーボルトはどのようにからんでいたのか、清張さんはどのように描いただろう。ほかにどこかで書いているのかいないのか。
 松本清張という人はやはりすごい人だったといまさらながらに思う。
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by hiroto_yokoyama | 2009-10-13 09:05 | ブログ
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