映画は『六條ゆきやま紬』(脚本・監督 : 松山善三、主演 : 高峰秀子)東京映画。撮影は岡崎宏三。白黒の映像を丁寧に撮っている。これぞ映画と感服した。このキャメラマンは大岡昇平原作『花影』(監督:豊田四郎)で印象に残っている。
昭和40年(1965)に封切られたこの『六條ゆきやま紬』はみそびれた。当時高校三年だったわたしは父に買って貰ったホンダCB250で大事故(ダンプカーと交差点でぶつかった)を起こし左膝の半月板を損傷してしまった。5月の母の日に怪我をしてひとりで出歩けるようになったのは9月だった。(松葉杖をついて飯塚市からバスで福岡市まで出て中洲の映画館で見たのはトニー・リチャードソン監督『長距離ランナーの孤独』だったと思う) 高峰秀子はわたしの好きな女優ではない。映画館で貰ったチラシを見ると大スターだったことは分かるがふるいつきたくなる気分にはなれない。(成瀬巳喜男監督『浮雲』は例外。この映画の彼女にはそそられた)理由は声が悪いからだ。彼女の声はわたしの耳にはガラガラと聞こえるのだ。 きのう読了した『評伝 黒澤明』によれば山本嘉次郎監督『馬』に出演したとき高峰秀子は17歳。チーフ助監督の黒澤明は30歳。このふたりが結婚するだとか撮影中にゴシップが流れたらしい。しまった! そうと知っていれば神保町シアターで昨年末『馬』を上映したときに見に行っていたものを。残念だ。
by hiroto_yokoyama
| 2010-02-02 20:42
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