檀一雄『光る道』

 わたしは枕頭に「ちくま文学の森 悪いやつの物語」という本をおいている。ぱっとめくったらきょうは見出しに書いた短篇がでてきた。いつもあめ玉をペチャペチャ舐める(わたしは本物の飴はけっして音をたてないで舐めるが)ように味読する。
 みかどの三番目の姫宮(ひめみや、ルビ)がとっても魅力的だ。彼女が竹柴ノ小弥太に初めて声をかける。
 「おのこ、おのこ。もっとこちらに寄るがいい」
 姫は小弥太の独り言を聞いて興味を持ったのだ。
 (姫) 「東から風が吹けば……?」
(小弥太)「はい、西にユラリ」
 (姫) 「南から風が吹けば……?」
(小弥太)「はい、北にユラリ」
 小弥太はじぶんの故郷のことを独りごちていたのだ。
 (姫) 「このわたしを負ぶって、そこまで逃げておくれ……」
 姫はのどが渇けば
 (姫) 「おのこ。水を賜(た)べ」
 腹がへれば
 (姫) 「おのこ。供御(くご)のモノは?」
 なんとものどか、というか奇妙なおかしみのこもった会話がつづく。
 悪いやつは小弥太か姫か。興味をお持ちの方は是非『光る道』を手にしてみてください。わたしはこれから昼ご飯です。
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by hiroto_yokoyama | 2010-02-03 11:55 | ブログ
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