和田勉「テレビドラマと清張さん」から

 見出しの文章は松本清張『状況曲線』(新潮文庫)下巻巻末に載っている。おかしいところを引用させて貰う。
……ワダしゃん(先生(むろん清張さんのこと)のさんは、ぼくにはいつもしゃん、と聞こえる)、きみはいいねぇ。
――はあ?
ほら、若い女優をデビュさせる時は、ウー、ひとつナニして、世に出すんだろう?
――そんなことはありませんよ、先生。
ホントかねぇ……。
――ほんとですよ。そんなことイチイチやってたらカラダがもたない。第一それは、大昔の映画界の情報じゃないんですか? テレビはですねぇ……。
 と、いうような会話があって、それでも先生はニヤニヤされている。ところでワダしゃん、カザブキジュンというのはどうかね?
――そりゃ先生、フブキ(風吹)ジュンと言うんですよ。
 ウン、あれはどうかね。
……いやワダしゃん、新人を世に出すべきだよ。それがきみたちの仕事なんだよ。
 和田勉はひどいと思いますよ。人格を疑います。「大昔」とただし書きをつけてはいても知りもしない「映画界」のことにするなんて。わたしに言わせるとテレビ業界の方が乱れています。いろいろな女性からテレビマンたちのセコいこそこそした話を聞いて知っています。
 引用ついでにもうひとつ。
(清張先生がテレビドラマに出演のおり)メイキャップには大女優なみに、五十分ほどをかけられた。と言ってあの偉大なカオが、そうそう変化するわけはなく、どうやっても実は、前進座の名代、いまは亡(な、ルビ)い中村翫右衛門(かんえもん)丈そっくりになってしまうのだが、そこはいささか工夫をこらして、ヒゲなどをつける。
 ワダしゃん、これでクラーク・ゲーブルだろう(と言われてみると、そうにも見える)。
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by hiroto_yokoyama | 2010-02-06 12:45 | ブログ
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