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ヴェルコール作『海の沈黙・星への歩み』(河野與一・加藤周一訳 岩波文庫)

 なぜこの本かと言えば映画のチラシを見て知った。映画はわたしの大好きな映画監督ジャン=ピエール・メルヴィルの処女作『海の沈黙』。その原作が見出しに書いた本。あの河野與一(『プルターク英雄伝』の訳者)の訳なので読んでみた。
 チラシにハーケンクロイツを背景に軍人が写った写真が使われているのでナチスと関係のある話だと見当はついていた。それ以外のなんの予備知識もなく読み始める。 訳がいい。 「静謐」というか抑制の効いた文章でたんたんと話がすすむ。地味な短篇。
 読み終わってはじめて文庫の表紙に目をくばった。表紙の解説文をそっくり引用する。
ナチ占領下のフランス国民は、人間の尊厳と自由を守るためにレジスタンス運動を起こした。ヴェルコール(1902─)はこの抵抗運動の中から生まれた作家である。ナチとペタン政府の非人間性を暴露したこの2篇は、強いられた深い沈黙の中であらがい続け,解放に生命を賭けたフランス国民を記念する抵抗文学の白眉である。
 映画のチラシに話を移す。「撮影:アンリ・ドカ」と印刷してあるがわたしはアンリ・ドカエと記憶している。(ドカエの方が正しいと思いますよ)
 宣伝文句を引用する。
ヌーヴェル・ヴァーグに影響を与えたジャン=ピエール・メルヴィル監督の伝説的な処女作であり、フランス・レジスタンス文学の代表作の映画化。
日本初公開!

 だって。しかも─デジタルリマスター版─らしい。「しかも」とか書いたがわたしはデジタルリマスター版が何なのかちっとも分かってはいないのです。
by hiroto_yokoyama | 2010-02-09 06:25 | ブログ
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