<   2010年 01月 ( 26 )   > この月の画像一覧

松本清張『随筆 黒い手帖』(中公文庫)

 蒲団に横たわり目をあげれば正面にすぐ見える場所に文庫と新書がはいる小さな本棚をおいている。この本の背をいつも見てとっくに読みおわったものと勘違いしていた。たしかにはじめの部分は目を通したような気がするが後半部分から読みはじめ全部読了するまでに残すところ60ページというところか。
 自分の本だが、最近はマーカーも線引きもしないでもっぱらポストイットを貼るようにしている。あとで見直すときにおのれの書き込みでさえうるさく感じるようになったからだ。さて、気になったところを数行引用する。
……木々高太郎氏によると、ヒッチコックが日本に来たとき、こう言ったそうである。自分がかつてつくった映画に、幼児が時限爆弾を知らずに教会に運ぶ場面があった。観客はそれが爆弾であるから、はらはらして見ている。何も知らない幼児は、教会に行きつくまで、途中で道草をくったり、わき見をしたりしてのろのろと歩く。爆発時間は刻々と迫るから観客は手に汗を握る。この、はらはらさせる手法がスリラーのコツだという。……
 このあとに清張さんの考えが続くのだが、わたしは別のことを考えた。題名を忘れたがこの映画をDVDで見たとき驚いた。なんと爆弾は子供(「幼児」と書いてあるが小学生が正しい)の手を離れる前に爆発してしまった。これでは「スリラー」どころの騒ぎではない。あたりまえだが映画は大コケ。ヒッチコック自身「失敗作」と認めていると植草甚一のエッセイで読んだ記憶がある。おそらく清張さんはこの映画を見ていない。木々高太郎の話したことを枕にして違った意見を述べているのだからそれはそれでいい。わたしは映画監督のはしくれなのでヒッチコックの見過ごしがたいミス(基本的に映画では何の意図もなくテーマと関係もしないのに子供を殺したりなどしてはダメなのだ。ヒッチコックは少しおかしい。)の方が気になりこの記事を書く次第であります。
[PR]
by hiroto_yokoyama | 2010-01-30 07:08 | ブログ

秋葉原事件

 きのう晩ご飯のときテレビでニュースを見ていた。通り魔事件の被告はなんとわたしの息子(長男)と同じ年らしい。佐木隆三氏も同様のコメントをなさっていたがきょうの毎日新聞27面に芹沢俊介氏の談話記事が載っている。題して  「彼」を生む社会とは。拝読してなるほどと思ったので後半部分を引用させていただく。
……加藤被告のように携帯に依存したり、派遣で働いたり、友達や彼女がいない青年は珍しくない。若い人たちと交流する機会があるが、同じような悩みや不安定さを抱えて自信を見いだせず、被告の孤独に共感していた人もいた。そういう意味で加藤被告は特異な存在ではなく、どこにでもいる若者の一人だ。
 彼はなぜ凶行に及んだのか。初公判ではまだ十分に解明されておらず、そうした問いを深めていく裁判にしてもらいたい。彼のような存在を生み出す社会は何なのか、丁寧に解きほぐしていく作業が必要だ。(談)

 もうひとつ。
 きのうの毎日新聞夕刊11面には事件のとき「救助中に腹部刺された  元タクシー運転手湯浅洋さん」の記事にも心を動かされた。こちらは前半部分を引用する。
 タクシー運転手として勤務中、事件に巻き込まれた湯浅洋さん(56)は事件当日、加藤被告のトラックが交差点に突っ込んで次々と人をはねる光景を目の当たりにした。タクシーから降り、倒れた人に近寄って声を掛けていると、ドンという衝撃を感じた。腹部が熱くなったかと思うと血があふれ出し、激痛で意識を失った。ダガーナイフが横隔膜に達する大けがだった。いったん復職したが、痛み止めの薬を飲みながら勤務するのは難しく、昨年9月に退職。現在はハローワークに通う。……【安高晋、神澤龍二】
 なんとも言いようがない。
[PR]
by hiroto_yokoyama | 2010-01-29 07:53 | ブログ

ものすごくどうでもいいこと

 わたしは物事の半分以上を(科学的に計量できないだろうが8割方は)「好き嫌い」で判断する。きょうの毎日新聞26面。厚生労働省元局長、村木厚子という54歳の女が初公判で無罪を主張という記事がでている。事件には申し訳ないが興味がない。この被告女のツラが気にくわない。
 スイカを食べるときにさぞ速いだろうなぁ、と感じさせる出歯なのだ。写真で見ると鼻の穴の形も悪い。親指は無理としても中指くらいは真横から入りそう。やり手の役人だったそうな。
 もともと役人を好きではないが、こういう顔をした女とは道ですれ違うのも嫌なのだ。わたしはこのように困った質(たち)なので神経科に通って抗うつ剤や精神安定剤を飲まないとならないのであります。
[PR]
by hiroto_yokoyama | 2010-01-28 06:25 | ブログ

ちょっといい言葉

「僕ですか? これはまことに自惚れるようですが びんぼうなのであります」
 きょうの毎日新聞3面下段の小学館の広告中央「永遠の詩」にある。③山之内貘 わたしはこの人の名前を知らない。はじめて見る。左脇に大不況の時代だからこそ読んでおきたい、底抜けに貧乏だが誇りたかく生きた稀有の詩人。 とある。
 「自惚れるようですが びんぼうなのであります」というのがいいではありませんか。
[PR]
by hiroto_yokoyama | 2010-01-28 06:08 | ブログ

大山誠一『天孫降臨の夢 藤原不比等のプロジェクト』(NHK出版)

 毎日新聞でこの本を知ったときすぐに思い浮かべたのは上山春平『神々の大系』『続・神々の大系』(ともに中公新書)と『埋もれた巨像』(岩波書店)のことだった。「この国のかたち」を考えていると司馬遼太郎の本ではあきたりないというか、読んで分かったような気になるがすぐに隔靴掻痒の思いが残る。この日本のどうしようもなさはどこに由来するのか。さっぱりイメージが浮かばない。上山の本で藤原不比等がわが国の原点(古代史を考える)をさがすのに最重要人物というのが分かった。
 『天孫降臨の夢』をさっそく図書館から借りた。「聖徳太子は実在しなかった」という説には充分に説得力がある。ついで藤原不比等については同書215ページ「第2章 藤原不比等のプロジェクト」
「一 藤原不比等の役割」劈頭から数行引用させて貰う。
 古代国家の形成にあたって、藤原不比等の果たした役割の大きさを、今日では誰でもが認めている。しかし、それをいち早く本格的に論じたのは上山春平氏である。
 上山氏は、日本の古代国家が、皇室すなわち天皇家の権威を中心に成立したように見えて、実は、実質的には藤原氏中心となっていることを見抜き、これを藤原ダイナスティ
(「藤原朝」というくらいの意味か。二男に聞いた)とまで称した……
 とても興味深いことである。
 ちなみに上山の『埋もれた巨像』は川勝平太氏が静岡県知事選に立候補するまえに雑誌「文藝春秋」に同書のことを書いておられるのを見てすぐにネットでもとめた。
 『日本書紀』はいつでも読めるように机上に置いている。手を伸ばせばすぐに届くのに難しい漢字が多くてしかもなんと読むのかも分からずぐずぐずしている。『天孫降臨の夢』109ページに推古十六年(六0八)八月壬子条に、その様子が……などとあるのでその場所など探してみようかなどと考えている。
[PR]
by hiroto_yokoyama | 2010-01-25 09:05 | ブログ

小沢の地検聴取問題

 どうもすっきりしない。毎日新聞22面に作家の高村薫さんの談話が載っている。この人の意見がいちばんわかりいい。半分くらい引用させて貰う。
……問題は、政治資金についての感覚が、小沢(原文には「氏」とあるが横山が意図的にはぶく)と、一般有権者とで大きくずれていることだ。
 小沢
(まえに同じ)は法律にぎりぎり触れなければ潔白だ、と考えているのだろう。おそらく微妙な部分はシロとして切り抜けられると思っているのではないか。
 しかし、一般有権者は「法律的にシロかクロか」ではなく、与党の幹事長が検察の事情聴取を受けるという事実自体を重大に受け止めている。個人の資金で土地を購入したのならば、陸山会を通さなくてもいいはずなのだから。このため、小沢
(まえに同じ)がいくら「潔白だ」と説明しても、国民の見る目は変わらないだろう。……
 まさに高村さんの言うとおり。われわれと醜男政治屋との間のこのズレがなんともイライラしてしまう原因なのだ。テレビを見ていても外国籍のスカタン野郎が好き勝手をぬかす(フジテレビ「新報道2001」)しこのことをこれ以上考えるのは無駄だ。すぐに頭をきりかえて違うことをするにしくはない。いまやっと気がついた。 
[PR]
by hiroto_yokoyama | 2010-01-24 09:46 | ブログ

松本清張『不運な名前』を読む

 題名からするとふつうの推理小説を想像するが中身は明治12年におきた藤田組贋札事件にまつわるお話。清張全集第66巻で読んだのだが活字は小さいし漢字が多いので読み終わるまでがたいへん。しかし「お勉強」になりました。
 清張さんは学歴がないのにむつかしい漢字をたくさん使う。尋常小学校高等科をでただけというコンプレックスがそうさせるのか。わたしごときはもうすぐ62歳になるのにとてもついていけない。辞書を片手にやっとおしまいまでこぎつけたというしだいなのであります。
[PR]
by hiroto_yokoyama | 2010-01-23 07:31 | ブログ

粘菌が描く「関東の路線図」(毎日新聞23面)

 須田桃子さんという方の署名入りの記事。「合理的な物流経路 設計に応用可能」というのが目についた。22日付の米科学誌「サイエンス」で発表になったらしい。北大など研究「全長は短く」「迂回路も存在」
 さっそくScanSnapで保存しておこうと思います。
[PR]
by hiroto_yokoyama | 2010-01-22 07:45 | ブログ

松本清張備忘録

 清張さんの『夜の足音 短篇時代小説選』(角川文庫)を読み終わる。6篇収録されているが、3つはすでに読んだことがあった。巻末、郷原宏氏の「解説」にあるように「いったん読み出したら最後、メシもトイレも忘れさせてしまう」とあるのは本当だ。忘れないように「解説」から発表年などをメモさせて貰う。
「夜の足音」は〈無宿人別帳〉第六話「オール讀物」昭和三十三年(1958)二月号
「噂始末」「キング」昭和三十年(1955)五月号
「三人の留守居役」は〈彩色江戸切絵図〉第四話「オール読み物」昭和三十九年(1964)七〜八月号
「破談変異」「小説公園」昭和三十一年(1956)二月号
「廃物」「文藝」昭和三十年十月号
「背伸び」「週刊朝日/傑作時代小説集」昭和三十二年(1957)二月
 わたしの2度読みは「夜の足音」「破談変異」「廃物」
[PR]
by hiroto_yokoyama | 2010-01-20 18:49 | ブログ

「松本清張の時代短篇は光っている! 」

 見出しに書いたのは角川文庫『夜の足音』のオビにある文句。昨晩は収録されている順番で『夜の足音』と『噂始末』を読んで寝た。清張作品がいいのは読後しばらくたってもあれこれと思いをいたすことができる点だ。2、3日まえに読んだ『失踪の果て』では劇中「藤村警部補は警部になった。」という件(くだり)がある。その4ページくらいあとに
……藤村は雑誌を閉じ、煙草を吸った。青い煙がゆるやかに匍(は、ルビ)い上ってゆく。
 それを何気なしに眺めた瞬間だった。ふとある思考が閃(ひらめ)いて、思わず眼が凝乎(ぎょうこ)となった。
 
『額と歯』では途中「水上署では署長が署員全部を集合させて訓示をしていた。」とあって、その7行あとに
 列の中にいた一人の若い巡査が、この時ふと首をかしげた。
とある。
 共にそのあと一挙に事件解決となるのだが、小説だから可能なのだ。映画でそのままやると絶対にうまく行かない。観客はまちがいなく「そんなはずがない」と反発し「ご都合主義」だと笑うかも知れない。画面でどのようにリアリティをもたせるか、そこが難しい。
 そんなことをあれこれ考えているとあっというまに時間はすぎる。とても楽しいひとときだ。ハタから見ると「ついに気でも狂ったか」ととられかねないだろう。
 映像にするならどのように画面を作って組み立てて説得力をもたせるか、そう考えさせられるものが清張作品には数多くある。
[PR]
by hiroto_yokoyama | 2010-01-20 07:19 | ブログ