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井上靖原作、堀川弘通監督『あすなろ物語』を読んでから見た

 「あすは檜(ひのき)になろう、あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも、永久に檜にはなれないんだって! それであすなろうと言うのよ」
 原作には6人の女性が登場する。(映画は3人)トップバッターは冴子。わたしの初恋の人の名も冴子。劇中、上記の台詞を言うのが冴子。
 「あすは檜になろうと念願しながら、ついに檜になれないというあすなろ(羅漢柏)の説話」と井上靖は言うけれど「翌檜」(あすなろう)はいくらなんでも作者の造語とばかり思っていた。念のために広辞苑をひいたらなんと「翌檜」が載っている。わたしはこのことをさっき知った。
 6人の女性の中ではやはり冴子がわたしは1番好き。映画では岡田茉莉子が扮しているがとても魅力的だった。主人公・鮎太は久保賢(のちの山内賢、二話は鹿島信哉、三話は久保明(久保賢の実兄)が演じる)がとてもいい。(わたしの少年時代にそっくり。というのはウソ)
 ちなみに脚本は黒澤明が自分のチーフ助監督を務めた堀川弘通のために書いている(堀川弘通『評伝 黒澤明』でわたしは知った)。
by hiroto_yokoyama | 2010-05-09 16:45 | 映画
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