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北野武監督『その男、凶暴につき』を見た

 この映画は、わたしの記憶に間違いがなければだが、初め深作欣二監督がお撮りになるはずだった。深作監督は自分の企画のことはほとんど話されなかった。かりにご存命であってもご本人から経緯を聞けたとは思えない。
 北野監督『アウトレイジ』を見たいと思った。「そりゃ順番がちがう。やはり、『その男…』を見てからではないか」と思い直した。この映画にはわたしの映画にかかわったスタッフが2人ついている。チーフ助監督とカメラマンだ。2人とも現在、行き来があるわけではないので多くを語る気はない。少しだけ言えば、北野監督はたいへん義理堅い人らしく、助監督に1本監督させた。わたしは新聞発表でそれを知ったときビートたけしは偉い奴だとおもった。もうひとつ。カメラマンにはこの作品以後も何本も撮らせた。これにも驚いた。初監督するときに最も世話になるのがカメラマンとチーフ助監督(もちろん全スタッフのバックアップあってのデビュー作だが)。カメラマンを辛抱強く使い続けたのには驚愕した。我慢強い人なのだ。わたしに比べて(比較すること自体が北野監督に失礼だが)苦労の仕方が違うのだ。わたしは温室育ちのもやしだ。ビートたけしは、わたしが尊敬する数少ない映画人のひとりだ。なるべくはやく『アウトレイジ』を見に行こうとおもう。
 最後に北野監督が先週だかテレビのインタビューで『その男、凶暴につき』に触れていた。「(はじめて監督した映画なので)カットじりが甘かったりして恥ずかしい」と言っていた。これは監督のせいではない。カメラマンの技量だ。プロが見たら誰でも分かる。北野武監督もさすがに何本目かにカメラマンを他の人に変えたことに気づいた映画ファンはあまりいないのではないだろうか。(カメラマン交代が遅きに失したとわたしは断言する)
by hiroto_yokoyama | 2010-07-03 09:29 | 映画
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