わたしには盗癖がある。おもてで新聞を見て気になる記事があるとカッターで切り取ったりする。昨年12月15日水曜日、サウナにはいって発泡酒を飲んだ。いい気持になって昼寝をしようとしたら讀賣新聞1面の「編集手帳」(朝日の「天声人語」と同じ場所に掲載)が目に入った。
「現代の俳壇に重きをなす俳人を見わたすと、大正八年(1919年)前後に生まれた人が多い」と書いてある。大岡信氏の説。この「世代には戦地で青春期を送った人が少なくない。俳句という短い詩形ならば、軍隊の過酷な環境のもとでも作品を記憶することができただろう」
見出しに書いた
鈴木六林男という人のことをわたしはまったく知らなかった。その鈴木氏が亡くなったらしい。「編集手帳」を読んで知った。末尾に氏の俳句がもう一つ紹介してあった。
「
全(ぜん)病むと個の立ちつくす天の川」
わたしにはこの句が正直言って分からない。でもなんだかありがたそうだ。ちなみにわたしの母親も大正八年の生まれだ。昨年亡くなった水上勉氏も同年。わたしの母は田舎でいまもって健在。その九州の母に二男があす会いに行く。