僕はまるでちがってしまったのだ
なるほど僕は昨日と同じネクタイをして 昨日と同じように貧乏で 昨日と同じように何にも取柄がない それでも僕はまるでちがってしまったのだ なるほど僕は昨日と同じ服を着て 昨日と同じように飲んだくれで 昨日と同じように不器用にこの世に生きている それでも僕はまるでちがってしまったのだ ああ 薄笑いやニヤニヤ笑い 口を歪めた笑いや馬鹿笑いのなかで 僕はじっと眼をつぶる すると 僕のなかを明日の方へとぶ 白い美しい蝶がいるのだ 少年のころ『少年サンデー』と『少年マガジン』を買いに近くの書店に自転車をとばしたものだ。けさ(4月22日)は「小説新潮」5月号をもとめに浦和まで車で行ってきた。 上の詩はその「小説新潮」の11ページに載っている。(宗左近氏の解説を読みたければ本屋で立ち読みなさるといい。定価は税込みで860円です) わたしはこの詩を読んですぐに「眼をつぶ」って見た。白い蝶どころか、浮かんだのは汚らしい蛾だった。 蛾と蝶の違いは、とまっているときの羽根の違いらしい。蛾は羽根を横に広げる。蝶は人間がつまみやすいように縦にあわせる。嘘かホントか知らない。なにかモノの本で読んだ気がする。 花は摘み取られるためにある。女は男に犯されるために存在しているわけではない。きょう買った雑誌の「総力特集」は「エロスの現在」。「杉本彩の世界」などざっと目を通したが室井祐月「money」がすこし気になった。 黒田三郎氏のこと。 氏は「1919年に広島で生れ、80年に没した詩人。「荒地」創刊同人。この詩は『ひとりの女に』(H氏賞受賞作)所収。 」(もとは縦書きのため数字は漢数字。横山が勝手にアラビア数字に改めた)
by hiroto_yokoyama
| 2005-04-22 13:45
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