「つつがらし」の「つつ」は「筒」だろう。すなわちペニス。男のあそこ。「がらし」は「からし」。「涸らす」でも「枯らす」でもいいのかも知れない。早い話「忍法筒涸らし」なのだ。すごい言葉だ。
「涸らす」は『新明解国語辞典第六版』(三省堂)によると「水をくみつくす(無くす)。」とある。「枯らす」は「枯れるようにする。」だ。どちらでもいい。 もうお分かりでしょう。「忍法つつがらし」とは女忍者がセックスをして男の精液を搾りとることなのだ。山田風太郎の小説に出てくる言葉だ(ったと思う)。 たしか高校2年生の夏だった。K.Y.といういまは絶交している友だちと近所の「ロマン劇場」(とっくに閉館)に中島貞夫監督のデビュー作「くの一忍法帖」(東映映画。題名は不確か)を見にいった。原作、山田風太郎。(「くの一」とは「女」という字を分解したもの) わたしは場内はガラガラなのに若い女二人連れの横にわざわざ坐った。K.Y.はわたしの右隣。その右隣は空席。わたしの左隣は女、その左隣はその女の友だちの女。そのむこう隣は空席。画面を見るとドライアイスのもやもやと妙ちきりんな効果音と音楽ではなはだ妖しい。気がつくとわたしの左腕が隣の女の体に触れて熱くなっていた。わたしはもうどうなってもいいという気分で木綿のワンピースごしにその女の乳から尻の割れ目まで触られるだけ触りまくった。まぬけなK.Y.はよだれを流さんばかりに画面にくいいっている。左端の女もたぶん画面に見入っているのだろう。当のわたしが触っている左どなりの女は映画に集中しているふりをしていた。 映画館を出て女の顔を確かめてみて驚いた。なんと担任の畠山先生が下宿している風呂屋の娘ではないか。こりゃ、まいった。どうしよう。わたしはやむなく彼女と知って触った。誰か分からず誰でもいいから触ったのではない、と釈明(わたしは誰だか分からず女なら誰でもよかったのだが嘘をついた)し次の日のデートに誘ったのだ。 「忍法つつがらし」という言葉が思い出されると同時につまらないことを思い出してしまったのは木田元先生の『猿飛佐助からハイデガーへ』を読んで山田風太郎の小説をちゃんと読んでみようと考えたからに違いない。「忍法つつがらし」は何という小説のどういうコンテキスト(文脈)に出てくるのか確かめないとならない。また、読みたい本が増えてしまった。
by hiroto_yokoyama
| 2005-07-10 15:06
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