岩波書店『フロイト全集』第17巻371ページ、須藤訓任(すとう のりひで)訳より部分的に引用させていただく。
「…
メドゥーサの、恐怖を惹き起こす切り首については解釈が試みられてよいだろう。
首の切断=去勢。…
それまで去勢の脅しを信じようとはしなかった少年が女性器を目にすると、それがきっかけとなる。女性器とはおそらく、毛にくまどられた成人のそれであって、結局のところ母親の性器である。
芸術がメドゥーサの髪の毛を蛇として造形することが多いのは、蛇もまた去勢コンプレックスに由来しているからである。…
メドゥーサの首の光景は観察者を驚愕のあまり凝固させ、石に変えてしまう。…
凝固することは勃起を意味し、…
観察者にとって慰藉を意味するのだからである。
メドゥーサの首は女性器の描写を代替し、…
ラブレーでも、女にバァギナを見せつけられた悪魔は退散している。…」
末尾にちなんで『パンタグリュエル物語』第四之書、第四七章「悪魔が、教皇嘲弄国の一人の老婆に欺かれたこと」は是非読んでみたい。
60歳ちかくなり見る機会はもうやっては来ないだろうがわたしは「毛にくまどられた成人の」女性器を見るのがいまでも怖い。見たくない。