嫌なことがありタクシー乗務をさぼって上記のビデオを家で見た。時々言っていることのピントが外れる山根貞男の解説を読みとばしていたら最後のところが気になった。
「
原作者の幸田文は文筆で名を挙げたのち、一時、筆を断って、東京・柳橋の芸者置屋へ女中奉公をしたことがあり、その経験からこのベストセラー小説を生み出した。」
どこまで嘘かホントか知らないがもし本当なら、わたしに引きよせて言う。「監督の橫山は『純』や『卍』で名を挙げたのち、一時、メガホンを捨て、さいたま市・浦和駅頭のタクシー会社で運転手をしたことがあり、その経験からこの大ヒット映画(あるいはベストセラー小説)を生み出した」ということもあるのだろうか。そんなことは間違ってもないとわたしは断言できる。
さて映画の内容だが、いつぞやわたしは「成瀬巳喜男に一番近い」などと言ったことを訂正しないとならない。わたしには芸者置屋の話など逆立ちしたって撮れそうにない。撮れっこない。恥ずかしいことを言ってしまったものだ。
山根さんに敬意を表して解説文のはじめを引用させて貰う。
「流れる」の最大の魅力は、なんといってもベテラン女優・スター女優たちの豪華な共演であろう。田中絹代、山田五十鈴、高峰秀子、杉村春子、岡田茉莉子、そしてあの栗島すみ子と、ビッグなメンバーが一堂に会して芸を競い合う。