わたしはテレビドラマにほとんど関心がない。例外で若尾文子が出ているので『迷走地図』(原作:松本清張、演出:坂﨑彰)を見た。彼女がもう60歳近いころのものだろうか。元NHKアナウンサー・森本毅郎が政治家の秘書役で出演している。これがなかなかよかった。あとは凡庸。
『迷走地図』から遡ること約20年。1971年年頭公開の「寅さんシリーズ」6作目『男はつらいよ 純情篇』は昨晩、妻と長男の3人でゲラゲラ笑い転げながら見た。このときの若尾文子はよかった。
さらにその時からほぼ10年前の映画。増村保造監督『妻は告白する』を再見。井出雅人の脚本もいいが若尾文子の代表作の1本になっている。ふるいつきたくなるほどの魅力がある。彼女は確か27、8歳。女盛りだし女優として他を圧倒していたに違いない。パッケージの宣伝文句を引用する。
若尾文子を大女優として昇華させた傑作。/
恐ろしいまでに強い愛に生き、遂には狂気へと陥っていく/
美しい女を、全身全霊で演じきる。
これも決してオーバーな表現ではない。とてもいい。若い女性、必見の映画だとわたしは思う。