藤實久美子『江戸の武家名鑑 武鑑と出版競争』(吉川弘文館、歴史文化ライブラリー257)と中沢新一『古代から来た未来人 折口信夫』(ちくまプリマー新書082)を図書館から借りてきた。
前者は本屋で手にとったとき書きはじめの1行「私が野球好きだからかもしれないが、武鑑は「プロ野球選手名鑑」に似ていると思う。」(1ページ)を見ておもしろそうだと期待した。森鷗外はじめ野村胡堂、岡本綺堂、三田村鳶魚、池波正太郎、司馬遼太郞、松本清張などのえらい人たちが「武鑑を使用また収集した」(35ページ)というのはおおよそわたしも見当をつけていたが武鑑を作った人々、須原屋茂兵衛(すはらやもへえ、ルビ)と出雲寺万次郞(15ページ)のことはこの本ではじめて知った。 「武鑑で最も古いものは寛永二十年(1643年)」に京都の本屋が出版した(51ページ)とかさらに狩野亨吉(かのうこうきち、ルビ)や服部之総(はっとりしそう、ルビ)の人名が分かったり寛永十二年(1635年)に武家諸法度(の改定)が行なわれた(50ページ)などのことを知らされだすとこの著者の女性特有の独り合点というか、「ほう、そりゃよかった」とか「えらかったネ」と言いたくなる欠点が読んでいてだんだん鼻につきだした。 後者は132 ページで「……わたしたちはようやく、折口信夫の抱いたヴィジョンの真意を理解できるまでに、成長することができたのではないだろうか。」(アンダーラインは横山)などと利いた風な口をたたかれると読書意欲がそこなわれ、わたしなどよりはるかにお勉強家の著者の頭のよさにはとてもついて行けず、すぐに返却するのが精神衛生上よいと判断した。 転んでもただでは起きないわたしとしては「曲舞(くせまい、ルビ)」から「幸若舞(こうわかまい、ルビ)」が生まれ(70ページ)たらしいとか金春禅竹『明宿集』(56ページ)や折口信夫『翁の発生』の著作あるいは論文(? )をあらたに知らされたり『死者の書』は前から読もう読もうと思っていたのだがつい手にしそびれていたことを反省させらりたりしたので損をしたという気分ではない。 だがわたしなどの凡愚はこのように立派な2冊の本をありがたがってちゃんと最後まで読んでもついに「成長すること」はできずに死んでいくのだろうから途中で放り投げることにしたのです。(こんなこと書くと著者の先生方に失礼ですよね)
by hiroto_yokoyama
| 2008-06-08 10:42
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