誰もが知っていて読んだこともないのについ読んだ気になっているものを古典と呼ぶならこの『新選組始末記』も立派な古典ではなかろうか。10日ほどまえに古本屋で100円で購入してぱらぱらめくっているとつい引込まれて最後まで読みおわった。
作者の「あとがき」がとてもいい。部分を引用する。
……
新選組を根ほり葉ほり訊き出すようになったのは、大正十二三年の頃からで、昭和に入ってからは、事にかこつけて頻りに京都通(がよ、ルビ)
いをやった。夜行で行って翌日一ぱい歩き廻り、また夜行で帰って次の朝は勤めに出た。多い月は五回も行った。尾佐竹先生(幕末史の権威尾佐竹猛)
は「十年やればどんな馬鹿でも並にはなれる」 とよくおっしゃったし、藤井先生(藤井甚太郞)
は「史料は糞でも味噌でも手の届く限り漁れ。品別はやっている中に自然にわかって来る」と教えてくださった。
生き残りの老人のはなしは、疑わしいのもあったが、私は「歴史」というのではなく現実的な話そのものの面白さを成るべく聞きもらすまいと心掛けた。
どうです? この本を読んでみたくなりませんか。