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『偸盗』は失敗作らしい

 長野嘗一『芥川龍之介 王朝物の背景』という本を持っている。120ページに
……この小説は明らかに失敗作で、芥川自身、「安い絵双紙みたいなもん」と自嘲し、「僕の書いたもんぢや一番悪いよ」(大正六年三月二十九日・松岡譲宛書簡)と断言してもいるのだが、原典(『今昔物語』のこと、横山)と比較して、なぜ原典が成功し、芥川が失敗したかの理由を考えるのは興味深い。
 そこで押し入れの中から日本古典文学大系『今昔物語』5冊を引っぱり出して「原典」のところに印をつけた。読むまでに至らなかったのは本が重いことと難しい漢字が多すぎるので敬遠したからだ。読めない漢字は枕元においている「新潮日本語漢字辞典」で見れば分かるのだが風邪気味でもあるし大儀なのだ。
 このようにして読みたい本も読まずに死んでしまうのは何とも悔しいがシルバーになっているのだから無理はすまいと寝る前に飲む薬を手のひらいっぱいに口にほうばったわたしなのであります。
by hiroto_yokoyama | 2008-11-23 22:30 | ブログ
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