昨年(2003年)9月17日わたしはガンの宣告をうけた。さいたま市の健康診査を受診して分かった。クリニックの先生から「どうやら、悪性のようです」という電話をいただいたときにはアタマのなかが真っ白になった。
とっさに思い出したのは黒木和雄監督に教えてもらった太宰治の『晩年』のこと。 死なうと思つてゐた。今年の正月、よそから着物を一反もらつた。 お年玉としてである。着物の布地は麻であつた。鼠色のこまかい縞 目が織りこめられてゐた。これは夏に着る着物であらう。夏まで生 きてゐようと思つた。 (どうも横書きでは感じが出ない。旧仮名遣いではとくに感じが出ない。そう言いつつ、わたしはいい加減なので、この初めの部分しか読んでいないが) わたしの二男はそのとき高校三年生。大学受験を控えている。いま死んだら、息子の受験に差し障る。二男がどの大学に落ち着くかどうしても見届けたい。わたしは「来年の春までなんとしても生きていよう」と決心した。 10月20日福岡市の浜の町病院でわたしは7時間半にも及ぶ大手術をうけた。胃を三分の二摘出されてしまった。9ヶ月たったいまも食べ過ぎると、すぐに苦しくなる。 年が明けて春が来た。息子は夜間大学に通うことになった。いまは夏。『お友達になりたい』の上映も終わり、つぎの目標を急いで決めないとならない。 わたしは大学生になった二男に手伝わせてどうしても撮りたい映画を親子2人きりで小規模に作ってみようかと考えはじめている。
by hiroto_yokoyama
| 2004-08-06 12:02
| 独言
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