巻末に鶴見俊輔氏の「死にかわり、生きかわり ―作家と作品―」が載っている。自分のための備忘録としてほんの少し引用させて貰う。
……白土三平がどういう勉強をしてきた人かはよくわからないが、彼に大きな影響をあたえたものの一つはシートンの『動物記』である。ここから彼は、動物生態学に関心をもち、人間の歴史を、自然史・進化史の大きな視野の中で見ることをまなんだ。人間の歴史について、彼は、日本の民間史学を独自の仕方でうけついでいる。山路愛山、石井研堂、田村栄太郎、服部之総、羽仁五郎、石母田正、の系譜に、白土の仕事をおくことは、唐突ではないと思う。…… 羽仁五郎(拙作『純』に出演していただいている)、石母田正のお二方の名前以外は不勉強なわたしは知らない。 収録されている白土三平の漫画(『ざしきわらし』)では366ページに「ヤイ おまえ なんか あっちいけ!! 」(小さな女の子を悪ガキがつっぱねる絵)に続いて「ワーイ 三ツ口 モグモグ ウサギの子!! 」「うちへ けえって ニンジン かじれ!! 」というコマが現われるのを見てわたしは驚倒した。 つぎの367ページの下の方で「父(てて、ルビ)なし 子は その子の せいかな…… 三ツ口 じゃとて 同じじゃ。」とざしきわらしが子供に説教するコマがあり、「おらが わるかっただ おら あの子に あやまるだ。」「うんだ。 着てる ものや 目はな だちで 人を見る ようになったら しまいじゃ。」という子供とざしきわらしのツーショット。このページの最後は「おらち へ いこうや。」「おら いつも おまえの 味方だ……。」(吹き出し2つ)悪ガキ5人を背景に三ツ口の少女と子供2人のほのぼのとした表情の絵でおわる。 この2ページを見ただけでも白土三平という漫画家をわたしは信用できる人だと思う。
by hiroto_yokoyama
| 2009-04-16 19:35
| ブログ
|
カテゴリ
以前の記事
2012年 11月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 2005年 04月 2005年 03月 2005年 02月 2005年 01月 2004年 12月 2004年 11月 2004年 10月 2004年 09月 2004年 08月 2004年 07月 その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||